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 行政系・事務系の採用試験では専門試験(択一)が課せられる場合があります。専門科目は、大きく法律系科目・経済系科目・行政系科目の3分野に分けられ20科目程度の科目構成になっています。ただし、採用試験によっては選択解答式のものがあり、その場合は出題されるすべての科目を解答する必要はなく、科目や問題を任意に選択できます。

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大原さん

専門択一試験の準備は進んでる?

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公くん

うーん。法律が好きだし、大学でも法律系の科目を履修したことがあるから、憲法から学習を始めたよ。教養の政治で学習する内容よりも難しいけど、裁判例なんかが出てきて楽しいなあ。憲法から勉強を始めてみたけどでいいのかなあ?あと法律系以外にはどんな科目があるんだっけ?


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大原さん

公くんみたいに興味のある科目や学習をしたことがある科目から始めてみてもいいわね。どの科目から始めなければいけないってことはないけどまず受験先で何が課されるかを調べてみることが大切よ。憲法は出題される事が多いし、国の基本となる法だから、はじめに憲法を学習する人は多いと思うわ。専門択一試験の主な科目の概要・出題項目・学習のポイントなどをまとめておきましょう。

【法律系】

1.憲法
国家と国民との間を規律する法です。国民の人権に関する分野と国家の統治体制に関する分野に分かれます。前者については判例、後者については条文知識の学習が特に重要です。他の法律と比べ条文数は少ないので、ある程度は暗記が可能です。学説の解釈が対立している論点もありますが、まずは通説を押さえておけば十分です。

2.民法
私人間の財産関係や家族関係について規律する法律です。民法総則・債権総論・各論が特に重要です。過去問を活用して、頻出論点を確実に押さえましょう。暗記量は多いですが、条文知識や判例を問う問題が中心です。家族関係に関する分野はそれほど出題されないので最低限の知識だけおさえ、財産関係に関する分野を中心に学習しましょう。

3.行政法
行政不服審査法、行政事件訴訟法、行政手続法、国家賠償法、情報公開法などの国家と国民との間を規律する様々な法律の総称が行政法です。判例の学習が最も重要となります。重要判例や基本的条文知識を押さえ、論点的に憲法と重なるところが多いため、憲法との関連を意識して勉強するとよいでしょう。最近では国家賠償法と行政事件訴訟法の取消訴訟が重要です。

【経済系】

1.経済学
ミクロ経済学では、微分・指数法則等の数学的知識を必要としますが、問題にはパターンがあるので、計算も慣れによって克服できます。マクロ経済学で必要とする数学は連立方程式程度ですが、学説の背景や経済状態に対する経済政策の帰結等の文章題については、理論の前後関係を踏まえた体系的学習が不可欠となります。

2.財政学
国家一般職では財政制度や財政事情が中心的な出題内容であり、類似した用語の分類や代表的数値・指標の増減等、ポイントをおさえた学習が必要です。また、国家一般職以外で頻出となる財政理論はミクロ経済学・マクロ経済学の学習が前提となります。なお、時事的内容も出題されるため、普段から新聞・ニュースなどで日本財政の概要を把握しておく必要があります。

3.経済政策
経済政策で出題される内容は多岐に渡り、ミクロ経済学やマクロ経済学、財政理論の学習が前提となるため、上記の経済系科目と一体で学習する必要があります。また、試験の出題科目に経済政策がない場合でも、ミクロ経済学・マクロ経済学・財政学として経済政策の内容が出題されるので、注意が必要です。

【行政系】

1.政治学
政治学は行政系科目のなかでは最も重要な科目です。専門試験のほとんどで出題され、行政学や社会学とも内容が重複するので、これらの科目を理解する上でも役に立つからです。また、国家一般職は政治過程論、戦後政治史、地方上級は民主主義論、国税は政治理論というように傾向がはっきりしているため、対策が立てやすいこともこの科目の特徴です。

2.行政学
行政学は近年難易度があがった科目の一つです。特に国家一般職で、小泉政権以降の行財政改革の問題や、財政学や行政法などの知識を必要とする問題が増えたからです。そのため、国家一般職で選択する場合には、今後隣接する科目の学習も不可欠なものになるでしょう。なお、地方上級では、官僚制論、行政統制論、地方自治が頻出になっています。

3.社会学
社会学は抽象的ですが、得点しやすい科目です。ただ、多くの公務員試験の併願受験を考える場合は、必ずしも重要な科目とは言えません。というのも、地方上級でほとんど出題がなく、国家一般職、特別区、国税でも選択せずに受験できるからです。早目に受験勉強を始めて余裕のある人や、法律系科目や経済系科目を苦手としている人向けの科目といえるでしょう。

※専門試験(択一)が実施される採用試験全てで上記科目が出題されるわけではありません。
 また、上述していない科目が出題されることも有りますので、採用試験実施機関のHPなどで必ずご確認下さい。

dummy
大原さん

出題される専門科目は他にもあるけど、多くの採用試験ではまとめておいた法律系、経済系、行政系の各科目を学習しておけば十分よ。ただ、受験したい採用試験のについては前もって注意して調べてみてね。

dummy
公くん

わかったよ!法律系以外には、経済系科目に行政系科目かあ。法律系科目も民法や行政法はまだ学習してないし・・・一つずつ着実に学習していこっと。

※採用試験によっては、上述した科目の他に商法、刑法、労働法、国際法、経済事情、経営学、国際経済学、統計学、計量経済学、国際関係、国際事情、心理学、教育学、福祉、労働事情、労働経済、社会保障、英語(基礎)、英語(一般)、商業英語、情報数学、情報工学等が出題されることもあります。

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